ごうけいほうもんしゃすう

仙台市中心部の市民生活の様子

3.11定点観測写真アーカイブ・プロジェクト 公開サロン @考えるテーブル 2012年12月22日

語り手:篠原治樹さん/進行・聞き手:佐藤正実さん(NPO法人20世紀アーカイブ仙台)

■震災翌日に営業していた仙台朝市の青果店

震災翌日に営業していた仙台朝市の青果店

2011年3月12日8時30分 宮城県仙台市青葉区中央
展示「3月12日はじまりのごはん」で利用しました

[篠原さん(以下、篠)] 震災翌日の仙台朝市(常設市場)の写真です。自宅は仙台市泉区だったんですけど、震災当日は渋滞で帰るのを諦めて、会社に泊まったんですね。次の日もまた渋滞するかもしれないと思って、朝6時前に車で街中を出て、一応家の様子を見に行って、また街中に戻ってきた時に、一軒だけ仙台朝市の青果店・いたがきさんのお店が開いてたんですね。
この時期、多分お店が開いてるという情報もほとんどなかったと思うので、人があまりいなかったです。まだ先がどうなるか分からないので、青果をまとめて買ってる人が多かったです。

[佐藤さん(以下、佐)]河北新報のバックナンバーを見ると、3月14日から仙台朝市がスタートしたって書かれていますが、いたがきさんだけ開いていたんですね。篠原さんはこの写真を撮ったときはどんな気持ちでしたか?


[篠]早朝ということもあるんですけど街がもう静まり返って、ほとんどもう騒音もないような。車もほとんど動いてなかったので、その中でこうお店が開いてるっていうのが、びっくりしたし、とりあえずちょっとほっとしました。それに、14、5人くらい会社にいたので、青果を買って帰れるのは嬉しいなって思いました。


■ダイエーに並ぶ人の列

ダイエーに並ぶ人の列

2011年3月13日 宮城県仙台市青葉区中央

[篠]ダイエーは、大型スーパーで一番最初に再開したお店なんですよね。再開したら一気に人が並んで、どこまで並んでたかな?この日は、江陽グランドホテルくらいまで、もう列がずーっと続いてたのを見て、6時間待ちとかもっと待った方もいらっしゃるって聞きました。
確か写真に撮ったと思うんですけど、前日にダイエーのところにトラックが入ってるのは見たんですよ。

[佐]あ、そうですか!翌日に?

[篠]もう準備してるんだなあって。

■棚から商品が無くなったコンビニ

棚から商品が無くなったコンビニ

2011年3月15日 宮城県仙台市内
展示「3月12日はじまりのごはん」で利用しました

[篠]仙台のコンビニなんですけど、どこだったか私ももう覚えてないんですよね。開いてるのを見つけて、ぱっと入ったんですけど、もう写真の通りほとんど商品がなかったですね。この時は、不謹慎なあれですけど、タバコを切らしていて、タバコを探してたんです(笑)まあタバコ買うどころじゃないんですけど。

[佐]嗜好品て大事ですよね。震災直後から酒買う人もいますしね。

[篠]コンビニは3月11日の当日も、仙台国際ホテル向かいのファミリーマートが開いていたんですよ。うろうろしてやっとあそこにたどり着いて、1時間並んで、やっと順番回ってきたと思ったらもう袋菓子しか残ってなかった。結局、買わなかったですね。

[佐]今、家の中に食べ物を置かなくても、コンビニが365日24時間開いてるからいいという話もありますけども、震災後、使おうと思ってたコンビニが使えないことを、多くの方がコンビニの写真を撮っているところからも、興味はそこにあったんだなっていうことがよくわかります。

[篠]本当そうなんですよね。私も仙台にいた時は独身だったので、家にはまあちょっとしたお菓子ぐらいで、何も備蓄がなかったので途方に暮れて、結局一週間ぐらい会社に寝泊まりしてました。

■高速バスのキャンセル待ちの列

高速バスのキャンセル待ちの列

2011年3月17日 宮城県仙台市宮城野区榴岡

[佐]これ仙台駅東口のバスターミナルですか?

[篠]3月17日に、確か東京行きの高速バスもやっと復活して、ただそれもほんの数本しか走らなくて全部予約で埋まってたんですね。私は関東の出身なので、どうやって関東に戻ろうかと悩んでて、一つは県庁から山形行きの高速バスに乗って、臨時便の飛行機で羽田に出るか、あとは、新潟に出て、新幹線で戻るかだったんですね。でも、山形行きのバスは新聞にもよく出てましたけどすごい行列だったんですね。あれにこの寒さの中並ぶのはちょっと厳しいなと思って、電話で新潟行きのバスを抑えて、いざ乗りに行ってみたらキャンセル待ちがすごい列でした。

[佐]これ全部キャンセル待ちの列なんですか?

[篠]そうなんです。新潟行きのバスも一便あたり3、4台出してて多分フル回転で状態です。ただこの日天候が大雪だったんです。だからバスも、1時間半か2時間くらい遅れて動いてました。

[佐]この一番後ろに立ってヘルメットかぶってる人は、ここが最後尾って言うことですか?

[篠]そうです。これだけ人がいると、すごい賑やかな感じするじゃないですか。やっぱりでも皆さんこう静かに黙って待ってる。異様な雰囲気だったのを覚えてますね。

■再開した仙台朝市

再開した仙台朝市

2011年3月17日 宮城県仙台市青葉区中央


[篠]17日の仙台朝市は、この時には全部お店も開いてて、魚介類も売ってたんですよ。なんでもある感じでした。普段の朝市ともう多分ほとんど変わんない状況だったんだと思います。トラックも着いて荷下ろししてたり、この時はぜんざいを売ってるのを見つけて、会社の女性陣に差し入れって言っておみやげに買って帰りました。

[佐]なるほど。この時はすぐ買えたんですか?

[篠]そうですね、結構並んでるお店もありましたが、わりと普通に買い物はできました。ただ写真にも写ってますけど、この日は結構雪が降ったんです。11日のことをちらっと思い出しながら写真を撮ってました。

*この記事は、2012年12月22日にせんだいメディアテークの考えるテーブルで行われた『3.11定点観測写真アーカイブ・プロジェクト公開サロン「みつづける、あの日からの風景」』で、篠原治樹さんがお話された内容を元に作成しています。


当日の様子はこちらからご覧いただけます。
《考えるテーブル レポート》→http://table.smt.jp/?p=2001#report


【3.11定点観測写真アーカイブ・プロジェクトとは】
このアーカイブ・プロジェクトは、東日本大震災で被災した宮城県内各市町の震災直後の様子、および震災から定期的に定点観測し復旧・復興の様子を後世に残し伝えるために、市民の手で記録していくものです。これから市民のみなさまから記録者を募っていくとともに、その情報交換・活動の場を公開サロンとして定期的に行っていきます。これらの定点観測写真は、NPO法人20世紀アーカイブ仙台とせんだいメディアテーク「3がつ11にちをわすれないためにセンター」で記録・公開し、市民参加で震災を語り継ぐ記録としていきます。

NPO法人20世紀アーカイブ仙台
公式Web:http://www.20thcas.or.jp/

【考えるテーブルとは】
人が集い語り合いながら震災復興や地域社会、表現活動について考えていく場を「考えるテーブル」と題して、せんだいメディアテーク、7階スタジオに開きます。トークイベントや公開会議、市民団体の活動報告会など多様な催しを行っていきます。


|記録の利用事例|
1、3枚目の写真は、展示「3月12日はじまりのごはん」で利用しました。
来場者がこの写真を会場で見て、想起したエピソードを下記のリンクからお読みいただけます。
01「たいせつな人を失ない食べることなんてどうでもいいと思っていた。」
08「地震後初めてコンビニで買い物しました。ガラガラの棚に、発泡酒が一缶ポツンと残っていて、それだけを買いました。」

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せんだいメディアテークでは、市民、専門家、スタッフが協働し、東日本大震災とその復旧・復興のプロセスを独自に発信、記録していくプラットフォームとして「3がつ11にちをわすれないためにセンター」(わすれン!)を開設しました。

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