昨年の2016年2月にオープンしたせんだい3.11メモリアル交流館。
地下鉄東西線荒井駅のコンコース内に存在し、東日本大震災を知り学び、みんなで震災や地域の記憶を語り継いでいくための機能を持ったスペースです。
また、荒井は津波の被害が大きかった仙台市東部沿岸地域への玄関口でもあります。
開館から1年を迎えた交流館ではこの1年の活動記録が展示されていました。
1年の間に交流館で行われたプログラム、また県外や海外から視察に訪れた人々の記録が紹介されています。
その中でも会場に大きく展示されていたジオラマは、七郷小学校の子どもたちが未来の七郷を思い描き制作したものです。小学生ながらにして、防災の視点だけでなくコミュニティやホスピタリティなどさまざまな視点でまちづくりを考える真摯で豊かな発想にはっとさせられました。
展示を鑑賞した後、荒浜地区の方へ足を運びました。
津波の被害による平らなまちに見えたのが荒浜小学校。
津波から児童や住民を守ったことで有名なこの小学校は、震災遺構として保存され4月30日から公開される予定です。震災遺構としての安全性を確保するためでしょうが、小学校のその姿は私たちが写真やテレビで見ていたものとは随分と異なり、とても綺麗で現在も使われているようにも見えます。
震災遺構としての公開を前に、荒浜小学校の前には「本物の」バス停ができていました。
津波の甚大な被害を受けた荒浜地区は災害危険区域に指定され、残念ながら人々の往来はあまりありません。「本物の」と強調したのは、そうしたなかで荒浜の記憶を忘れないため震災以前に賑わいのあった場所、あるいは荒浜の再生を強く願い活動する人々の活動の地にバス停をつくるアーティストがいるからです。
故郷の歴史や文化や暮らしを本を紐解くように知ってもらい記憶を残そうとつくられた<海辺の図書館>。
こちらにもそのバス停があります。
津波の爪痕が未だに深く残る荒浜地区には、災害危険区域に指定されながらも自宅跡地で荒浜の再生を願って活動をする人々が何人もいます。広がる平地の中にみえるスケートボードの練習場<CDP>や、交流の場としてつくられた<里海荒浜ロッジ>も、そうした活動のひとつです。