ごうけいほうもんしゃすう

リアルふっこうボイス 記録利活用レポート

山形大学人文社会科学部地域社会論において、特定非営利活動法人都市デザインワークスが担う閖上地区まちづくり協議会事務局の取り組みについて講義おこないました。授業では、閖上(ゆりあげ)復興のプロセスにおける現場の状況を説明するため、リアルふっこうボイスの音声と写真を利活用しました。

にちじ 2017年6月14日(水)14:40〜16:10
ばしょ 山形大学小白川キャンパス 基盤教育2号館

<授業概要>
毎回異なる外部講師を招き、現場の人から見た現状と課題を語ってもらうことによって、地域社会がどのような課題を抱えているか、またそれに対しどのような取り組みが成されているかを理解し、説明できるようにする。


<使用方法>
〜声を聞く〜
「名取のこえ」の音声のうち、震災から間もない頃の音声と、大規模な工事が始まった頃の音声を使用しました。

1.60代男性/漁業/閖上/2011年7月16日収録
Q “漁師とは”
A “漁師だから、んだから、どゆまで何より、海さ近いとこさ住みたいんだっちゃね。”
http://recorder311-j-bu.smt.jp/sound/13000/

2.40代男性/会社員/閖上/2011年7月16日収録
Q “安全とは”
A “100%ほんとに安全なのか。なにを言いたいかっていうと、みんな閖上に戻りたいのまず。その気持ち一緒なんですよ。ただし!ほんとに100%安心安全なのか。100%じゃあねえ、わたしだって納得いかないですよ。120%130%、200%くらい安心安全の対策をうってくれないと、元に戻れない訳ですよね。マスコミでね、そういうことされるのはいんだけど、ほんとにそれがね、一回検証してみてくださいって話ですよね。じゃないと、我々は、ほんとに何を基準に、それが安心安全だというレベルにするかなんですよ。ものさしにするかっていうこと。”
http://recorder311-j-bu.smt.jp/sound/12989/

3. 70代男性/無職/閖上/2015年8月23日収録
Q “今のまちづくり”
A “ええこの頃土盛り始まってですね、昔のま、前はほら、あー、言わなくても閖上の街の面影があったわけですよ。土盛られるまではね。一軒一軒の屋敷の後もあったし。でもこの頃土盛られましたんでね。そうすると私らが育ったこの面影が無くなっていくわけ。それがちょっとさみしいなあという気はしますよね。まあ復興は嬉しいんですよ。復興は嬉しいんだけど、私達が育ってきた町が、土の中に埋まっていくっていうか。偶々私の家の跡なんかは土が盛られてますんでね。だからそういう一抹の寂しさというかちゅうもんは感じますね。復興は嬉しいんですけど。”

参考:
2011年8月11日配信 リアルふっこうボイス第2回〜名取のこえ〜
2015年8月24日配信 リアルふっこうボイス第36回〜名取のこえ 第5〜



〜観て測る〜
津波被害経験者が受講生の中にいる可能性を鑑みて震災当時の写真は使用せず、工事進捗を確認できる定点観測写真を使用しました。

参考:
2014年8月12日配信 リアルふっこうボイス第30回〜名取のこえ 第4〜
2017年3月13日配信 リアルふっこうボイス第39回〜再興から6年のこえ〜


<受講生の感想から>
①私の地元も震災で大きな被害を受けたので、復興というテーマはとても身近に感じられた。復興は破壊であるというインタビューの声に、私自身も共感できる部分があるので、復興に対しての複雑な思いを推しはかることはできる。

②小学生の頃、学年で地引き網を閖上でした思い出がある。それ以来行っていないが、被害があったことは私も悲しかった。震災後のインタビューは聞いていてしんどかった。

③宮城県出身で、閖上にも震災後に行ったことがあったので、身近に考えることができました。「復興」と「まちづくり」を同一のものとして考えたことがなかったので、それら2つ平行して行っていくというのは驚きでした。

④私は福島出身で、将来就きたい職業的にも震災復興はとても他人事ではなく、一から街並みをつくっていくことへの多大な苦労を感じました。震災をネガティブに捉えず、新しい街を作りなおすというポジティブ思考が大切だと感じました。


<考察>
震災当時の情報が錯綜していた状況や、目に見えて進むハード整備の意思決定の前後に生まれる様々な住民意見がつくり出すジレンマを伝えることができました。まだ復興途上であるという認識が強いためか、復興事業の真理を問うことにはなりませんでした。

本授業は、学生の希望を踏まえ毎年少しずつテーマを入れ替える形式をとっており、今年になり「復興支援」が新しく追加されました。同大学のほかの教員に話を聞いてみると、ここ数年の学生は震災に対する関心が高まっているといいます。感想からも、被災地との物理的距離感は様々だが、復興に対する関心の高さが伺えました。

「復興」と「まちづくり」を分けて捉えている感想が多くみられました。震災前からのまちづくりの取り組みがある地域とそうでない地域があるので、両者を切り分けることで伝えられることがあるのかもしれません。




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