2011年10月2日、仙台市から運ばれてきた神楽舞台が神楽集の皆さんにお披露目されます。
【解説】
雄勝町大浜の葉山神社は石峰山の麓にある。標高352メートルの石峰山山頂にある石(いその)神社の里宮だ。山頂の大岩を御神体に約1800年前にまつられたという石神社は、交通の安全を守る海の女神。人々は厚い信仰を寄せてきた。
海沿いの幹線道路から30段ほどの石段を上がると、葉山神社の社殿が現れる。亀甲形やうろこ形、四角形と形の違う雄勝産スレートで葺いた美しい屋根を、丹塗りの柱がまるで踏ん張るように支えていた。津波は社殿を越え、内部をかき回し破壊した。黒い格子の蔀(しとみ)戸(と)を外して神楽を舞うことがあったという社殿は、津波で大きくゆがみ、今にも倒れそうだ。スレート屋根の重さも加わって、社殿は余震のたびにゆがみ続ける。
高床下に保管していた組み立て舞台の部材は、社殿入り口の階段や柱に引っ掛かり流失を免れた。雄勝に11組あった組み立て舞台の中で、唯一残ったこの部材が、舞台再建の基礎資料になった。
津波は社殿を越えてさらに高所に達し、保管していた神楽の衣装や面、太鼓や古文書とともに社務所を押し流した。
文 奈良部和美(ジャーナリスト)
【取材協力】
雄勝法印神楽保存会、せんだい演劇工房10-BOX、雄勝法印神楽再生実行委員会、
東建設株式会社、仙台高専建築デザイン学科坂口研究室、
えずこ芸術のまち創造実行委員会、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)