そこで、「レインボーアーカイブ東北」では、今回の震災でみえた課題や、今後の対策を洗い出し、これからの「備え」を蓄積していくために、その当事者たちの生の声を集めてウェブサイトや冊子などで発信していきます。
■レインボーアーカイブ東北による手記
「セクマイ被災者」と呼ばれて(記録者:namihei)
東日本大震災を自分なりに振り返ってみる(記録者:小浜耕治)
僕は、被災していない(記録者:柳田 創)
震災から得た新しい視野(記録者:イル)
とある独り者の場合(記録者:MEME)
ゲイとしてのつながり・絆(記録者:ふとし)
■手記
ことばで記録することを大切にしている人たちもいます。
「レインボーアーカイブ東北」では、多様な性の当事者たちによる震災体験の手記を集めています。
そこには、異性が周りにいる状況になって辛い思いをしたことや、部屋に他人が入ることになるかもしれないと予感し、セクシュアルマイノリティ関連の本を急いで隠したことなどが記されています。
また、「大きな被害も受けず、不便な生活を強いられただけの自分は<被災者>ではない」と感じているのに、東北の外の人から「被災者」として見られてしまうことの違和感についても、いくつかの手記で共通して語られています。
「3がつ11にちをわすれないためにセンター活動報告冊子(2015年2月発行 )」
「手記(p52-53)」の解説より
■用語解説
レインボーアーカイブ東北の「手記」には、耳慣れないセクシュアリティに関する用語がたくさん出てきます。それぞれの意味は、おおまかにいって下記のようなものです。他にも諸説さまざまな解釈があり、記録者が少し違ったニュアンスで使用している場合もあります。言葉を定義づけるのでなく、読み進める参考として用いて、性の多様性に想いをめぐらせてみてください。
【セクシュアリティ】
人の性の包括的なありよう。身体の性、ジェンダー、性自認、性的指向等の要素がある。
【セクシュアルマイノリティ】
性的なありようが多数派でないとされる人たちのこと。同性愛者・トランスジェンダーなどが有名だが、ほかにもいろいろな人がいる。略して「セクマイ」とも。
【ジェンダー】
社会的に作り出された男女の違いのこと。
【性自認】
自分で自分の性別をどう思っているか、ということ。身体の性別と同じ人もいるし、異なる人もいる。はっきりしない人もいる。
【性的指向】
どんな対象に性的な興味が向いているか、ということ。異性に向いている人もいるし、同性に向いている人もいるし、そのほかにもいろいろな人がいる。
【LGBT】
レズビアン (Lesbian)、ゲイ (Gay)、バイセクシュアル (Bisexual)、トランスジェンダー (Transgender) の頭文字を取って並べた総称。セクシュアルマイノリティの総称的に使う場合もある。
【レズビアン】
女性を性愛の対象とする女性。「レズ」「ビアン」などと略される。「レズ」は差別的に用いられてきた経緯があるため当事者は「ビアン」を使用することが多いが、あえてポジティブに「レズ」を自称する人もいる。
【ゲイ/ホモセクシュアル】
男性を性愛の対象とする男性。または、同性愛者全般を指すこともある。「ホモ」は差別的に用いられてきた経緯がある。
【バイセクシュアル】
女性も男性も性愛の対象とする人。両性愛者。より広い概念として、対象の性別にとらわれない「パンセクシュアル」(全性愛者・汎性愛者)という語もある。
【Aセクシュアル】
何者も性愛の対象としない人。無性愛者。
【ヘテロセクシュアル】
異性を性愛の対象とする人。異性愛者。「ノンケ」と呼ばれる場合がある。
【トランスジェンダー】
身体の性別とは異なる性を生きることを望む人。 いわゆる「性同一性障害(GID)」、FtM、MtF、FtX、MtXなどが含まれる。手術やホルモン剤で身体の性別を変えたい人もいれば、そこまで望まない人もいる。なお、身体の性別と性自認が一致しており、それに従って生きる人を「シスジェンダー」という。
【性同一性障害:Gender Identity Disorder (GID)】
身体や戸籍の性別が「自分の性別ではない」と感じるために社会生活が困難になっている状態につけられた疾患名。
【FtM】
「Female to Male」の略。トランスジェンダーのありかたのひとつ。身体は女性、性自認は男性。
【MtF】
「Male to Female」の略。トランスジェンダーのありかたのひとつ。身体は男性、性自認は女性。
【Xジェンダー】
トランスジェンダーのありかたのひとつ。性自認が女性でも男性でもない、あるいは中間だと感じる等の人のこと。身体が女性の場合「FtX」、男性の場合「MtX」と称される。
【アライ】
LGBTを支援する異性愛者のこと。
【カミングアウト/カムアウト】
自分のセクシュアリティについて表明・公表すること。他人のセクシュアリティを勝手に暴露することは「アウティング」という。
【クローゼット】
自分のセクシュアリティについてカミングアウト(公に)していない状態のこと。
【レインボー・フラッグ】
性の多様性を象徴する虹色の旗。赤・橙・黄・緑・青・紫の6色から成っているものが一般的。
※この用語解説は、「性と人権ネットワーク ESTO」ウェブサイトの用語解説ページおよび、フリーペーパー『♀カノ×カノ♀~♀×♀ Life in Sendai~』Vol.3(発行:♀×♀お茶っこ飲み会・仙台)の記事を参考に簡潔にまとめたものです。
もっと詳しく知りたい方は、「性と人権ネットワーク ESTO」ウェブサイトをはじめとしたセクシュアリティ関連サイトや書籍などで調べてみてください。
■レインボーアーカイブ東北について
レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーなど、多様な性の当事者たちの生の声を集積・記録・発信する団体です。
可視化されていない地方の当事者の存在を広くアピールすることで、違いを認めあい尊重しあう、より生きやすい社会をめざします。
宮城県仙台市を拠点に活動している4団体「東北HIVコミュニケーションズ」「やろっこ」「Anego」「♀×♀お茶っこ飲み会・仙台」が中心となって2013年6月に設立されました。
連絡先:ochakkonomi@gmail.com (♀×♀お茶っこ飲み会・仙台)
※レインボー(虹)は多様な性のあり方の象徴として世界各地で用いられています。
[2013年12月16日公開、2016年6月3日更新]